摩擦撹拌による軽金属材料の材料改質とモールド技術の開発
(第1報)
-- アルミニウム合金の強度に及ぼすFSWによる結晶粒微細化と熱処理の影響 --
主にアルミニウム合金等の接合法として開発された摩擦攪拌接合(Friction Stir Welding:以降FSW)技術を用いて、結晶粒径の微細化による機械的特性の改善を試みた。非熱処理型アルミニウム合金のA1100とA5052、熱処理型のA6061、および鋳造用アルミニウム合金であるAC4CHに摩擦攪拌加工(以降FS加工)を施し、引張強度、硬さ、組織を調べた。また、機械的特性に及ぼす熱処理や加工硬化の影響を調べるため、FS加工前後での熱処理の有無等、系統的に調べた。A1100とA5052では、展伸材が最も強度が高く、FS加工を行うと焼き鈍しとほぼ同程度の強度・伸びを示した。A6061も展伸材が最も強度が高かったが、FS加工により焼き鈍しよりは強度、伸び共に大きくなっていた。AC4CH鋳造材の場合、鋳ばなしの状態からFS加工を施すと強度・伸び共に向上した。さらにその後、T5またはT6処理を行う事により、伸びは減少したものの強度は向上した。
摩擦撹拌による軽金属材料の材料改質とモールド技術の開発(第2報)
-- 摩擦撹拌によるマグネシウム合金の材料改質 --
マグネシウム合金(AZ31,AZ61)ならびにマグネシウム鋳物材(AZ31 as cast)を摩擦撹拌法により処理し、微細構造ならびに機械的特性について調べた。AZ31,AZ61にFS加工を施すと強度が減少し、伸びが向上した。AZ31 as castの場合、鋳ばなしの状態からFS加工を施すと強度、伸びともに向上した。また焼きなましを施したAZ31にFS加工をした後、圧延処理を施すと強度は向上し、伸びは減少した。
摩擦攪拌による軽金属材料の材料改質とモールド技術の開発(第3報)
-- 摩擦攪拌スポット接合継手の機械的特性 --
摩擦撹拌接合によるアルミニウム合金板の重ね合わせスポット接合(Friction Stir Spot Welding以下FSSW)に関する実験を行った。前報1)での異なるツールピン長さの影響に続いて、今回はショルダー径を変えた三種類のツールを使用してA6061-T4材を重ね合わせ接合し、ツール回転数、材料侵入後のツール保持時間の異なる各試料について接合断面の観察、剪断引張試験、引張疲労試験を行い、ショルダー径の違いが接合強さに及ぼす影響を調べた。その結果、ショルダー径φ15のツールによって接合した場合でも通常使用されるφ10の場合と同等の静的強度が得られること、ショルダー径φ15の場合には静的強度に関して接合条件の影響を大きく受けること、ショルダー径φ15、φ10のツールによるFSSW継ぎ手についての疲労試験では、高サイクル領域では両者の違いは見られないが、低サイクル領域ではショルダー径φ10によるFSSW継ぎ手の方が疲労強度は高いこと、さらに荷重制御によるFSSW継ぎ手の疲労曲線と比較すると、低サイクル領域において位置制御の継ぎ手の方が疲労強度が高いことが判った。
マイクロ波を活用した複合材料の開発(第2報)
-- 金属基複合材料のマイクロ波焼結 --
2.45GHz、最大出力5kWのマルチモードタイプのマイクロ波炉によって、イルメナイト粉末、鉄、イルメナイト及び鉄―イルメナイト複合材の圧粉体について窒素ガス雰囲気下、出力2.5kW一定として加熱実験を行った。鉄圧粉体は6.2ksのマイクロ波照射で986Kの温度上昇が見られた。イルメナイト粉末は約50s、イルメナイト圧粉体は約120sで試料の温度が1423Kに達し、マイクロ波吸収が非常に優れていることがわかった。そこで、イルメナイト粉末を鉄圧粉体に2、5、10、20および30(mol%)分散した試料を作製した。マイクロ波照射によって顕著な温度上昇が見られ、5~30(mol%)の試料は鉄の焼結温度の1423Kに達した。2(mol%)分散した試料は5.4ksのマイクロ波照射で1250Kまでの温度上昇が見られた。イルメナイトの分散量が多いほど温度の上昇が早い傾向を持ち、10(mol%)分散した試料で430sで1423Kまで達した。また、どの試料においてもよく焼結している。さらに、イルメナイトと鉄の比率が、1および2(mol%)の比率となるようにイルメナイト圧粉体を鉄圧粉体に挿入した試料を作製した。1(mol%)の試料が200s、2(mol%)の試料が240sで1423Kに達した。しかし、両方の試料ともに焼結は進んでいなかった。イルメナイトは圧粉した鉄の内部に分散または挿入されているにもかかわらず、マイクロ波を吸収して発熱すると考えられる。
機械加工の温度制御による高機能化に関する研究(第1報)
深絞りに使用される板材は圧延で作製する。そのため板材の機械的特性は面内異方性1)を示す。これを用いた深絞り成形品の横断面形状には、面内異方性に起因して通常0.1mmのオーダのゆがみが生じている。金属材料は一般に、高温下と低温下では変形能が異なる。この研究では、円筒深絞り成形金型の円周方向に高温部と低温部を配置し、板材(ブランク)の円周方向に意図的に温度差を与えて成形を行う域差温間成形を考案した。高温部とブランクの圧延方向などの配置を適切に行って成形を実施することにより、成形品の横断面形状のゆがみを是正することを試みた。今年度はこのアイディアの有効性の検証を主体に研究を行い、域差温間成形により成形品の横断面形状のゆがみを意図的に変化できることを確認した。
機械加工の温度制御による高機能化に関する研究(第2報)
材料の低温脆化、および工具の冷却を目的に、SS400、SKD11調質材の被削材を直接冷却し切削加工を行った。そして切削抵抗、切削面粗さ、工具摩耗、切削面うねりについて調査した結果以下のことがわかった。シャルピー衝撃試験結果から低温脆化が認められるSS400は、被削材の冷却により切削抵抗の減少、および切削表面粗さの向上を示す。そして、この冷却効果は、切削速度が増加するに従い小さくなる。一方、シャルピー衝撃試験結果から低温脆化が僅かしか認められないSKD11調質材は、冷却による切削抵抗の減少や切削面表面粗さの向上はみられない。SS400、SKD11調質材の両被削材の連続切削において、常温切削の場合切削開始時には見られなかったビビリ音の発生や切削面のうねりが観察された。一方、冷却切削の場合その現象は見られず切削開始時と同等である。
刃物の品質管理に関する研究(第3報)
-- 画像解析による刃先角度の測定 --
刃物製品に求められる品質として切れ味がある。切れ味は刃先の形状や角度及び材質など様々な要素が絡んでいる。一般的に刃先の観察は製品を切断して行うため、切断作業や研磨作業が必要となり1ヵ所の測定に多くの時間が必要となる。そこで、著者らは刃先角度を非破壊で短時間に測定できる画像処理型刃先角度測定装置を開発した。本年度は治具の改良と高解像度化を実施し、製品の取り付け作業時間は5秒程度に短縮され、誤差が0.1度以下の測定数は全体の80%以上を占めた。
刃物の品質管理に関する研究(第4報)
-- 手動式鋏切れ味試験機の試作 --
切断荷重をバネのたわみ量として計測する原理の手動式鋏切れ味試験機を試作した。3種類のバネを使用して厚さ0.09 mm,幅1 mmのコピー用紙を切断した結果、8~16 mmという肉眼で十分に計測できるバネのたわみ量が得られた。また、新品の鋏と紙を100,000回切断した後の鋏の切れ味を評価したところ、バネにFUF8-40-B,FUT8-40-Bを使用した場合、たわみ量が新品の1.6~1.7倍になり、本評価方法により切れ味の善し悪しを評価できる可能性があることが明らかになった。ただし、たわみ量の正確な読み取りについての改良点も残った。


