岐阜県機械材料研究所:平成17年度研究成果



プロセス制御によるマグネシウム合金の成形加工技術の研究
(第3報)

-- 塑性加工法を利用した軽金属材料の成形性の向上と製品化に関する研究 --

 粉末押出成形プロセスによるMg2Si粒子分散Mg基複合材料の機械的諸特性の向上について検討した。分散粒子となる微細なMg2Si粉末を創製し、マトリックス粉末へのMg2Si粉末添加量が押出成形体へ及ぼす効果について評価した。さらに、押出鍛造成形法による複雑形状の成形を試みた。Mg粉末とSi粉末の素粉末から固相合成条件773K-7.2ksによってMg2Si粉末を創製し、機械的な粉砕法により微細化した。熱間押出成形により得られた成形体のマトリックス組織の結晶粒径は微細で、Mg2Si粒子が比較的均一に分散した組織であった。熱間押出成形体の曲げ強さは微細なMg2Si粉末添加することにより向上し、Mg2Si粉末が2mass%添加量の時に成形体の曲げ強さは最も高くなった。また、曲げ強さは既存の鋳造材よりも高い値であった。さらに、Mg2Si粒子分散Mg基複合材料を用いて、低温下で押出鍛造成形により歯車形状の成形をした。

プロセス制御によるマグネシウム合金の成形加工技術の研究
(第4報)

-- 塑性加工法を利用した軽金属材料の成形性の向上と製品化に関する研究 --

 マグネシウムは実用金属中で最も軽くリサイクル性等に優れた材料である。マグネシウム合金は250℃以下では塑性変形しにくい特性を持ち、その成形には主に射出成形法が用いられている。しかし、マグネシウム合金の利用をより一層拡げるには、塑性加工法の適用を可能にする必要がある。ここでは粉末材料から作製した新しいマグネシウム合金であるMgSiXを、塑性加工法により成形するプロセスの確立を目指して研究を行った。具体的には、MgSiXの鍛造について実験を行った。その結果MgSiXの鍛造は、成形温度をMg合金の鍛造としては低い250℃とした場合でも、成形工程を複数に分割することにより中間焼鈍を行うことなく可能となることがわかった。

マイクロ波を活用した複合材料の開発(第3報)

-- 金属基複合材料のマイクロ波焼結 --

 ニッケル、モリブデンおよび鉄の粉末と圧粉体についてのマイクロ波吸収特性を検討した。マイクロ波吸収特性は、試料の温度勾配で表されることから、2.45GHz、最大出力5kWの出力可変のマルチモードタイプのマグネトロンによって、それぞれの金属粉末および同じ重量の圧粉体(φ20mm、圧力250MPa)を大気中または窒素ガス雰囲気でマイクロ波加熱を行い、赤外線放射温度計で測定したときの温度挙動について検討した。窒素ガス雰囲気においてNi、MoおよびFe粉末を2kWでマイクロ波加熱したとき、マイクロ波照射初期に温度の急激な上昇がみられ、いったん温度が下がった後に再度時間とともに温度が上昇する。初期の温度上昇はマイクロ波照射による粉末周辺部の高温化によるものである。Ni、MoおよびFe圧粉体を2kWでマイクロ波加熱したとき、マイクロ波照射時間に対応して試料温度が上昇し、その加熱温度(T/K)と照射時間(t/s)は比例する。ニッケルの粉末と圧粉体について、窒素ガス雰囲気で出力2kW、2.5kW、3kW、加熱時間1.8ksまたは3.6ksのマイクロ波加熱を行い、出力の上昇とともに温度上昇率が増大することが判明した。これらの事象から大出力のマイクロ波炉による短時間粉末冶金の可能性を示した。さらに、複合材料のマイクロ波による粉末冶金について検討した。鉄に炭素を25(mol%)混合した粉末および圧粉体の2kW、3.6ksのマイクロ波加熱実験を行い、混合粉末、圧粉体ともに鉄粉の場合より高い(941K)温度上昇を得た。

クリーンな接合技術の開発と応用研究
(第9報)

-- FSWによるスポット接合(Ⅲ) --

 前報1)に続いて摩擦撹拌接合によるアルミニウム合金板の重ね合わせスポット接合(Friction Stir Spot Welding以下FSSW)に関する実験を行った。
 今回はツールの形状に着目し、ツールのピンの長さ、ショルダー径を変えたツールを使用し、アルミニウム合金A6061-T4材を重ね合わせ、自動摩擦溶接機を使用してツール回転数、材料侵入後のツール保持時間を変えてFSSW接合を行った。各接合試料について剪断引張強度、十字引張強度を調べ、接合断面を観察することによって、ツールのピンの長さ、ショルダー径の違いが接合強さに及ぼす影響が明らかになった。

クリーンな接合技術の開発と応用研究
(第10報)

-- 表面活性化接合技術(Ⅲ) --

 表面活性化接合法の応用として、より簡便で安価な接合を目的に、表面活性化処理後、大気中での加熱を用いた接合方法(表面活性化加熱接合)の検討を銅/銅、銅/ステンレスの組合せで行った。その結果、接合温度が上昇するにしたがい、接合強度も増加し、さらに、表面活性化処理としてのスパッタエッチング処理は接合強度向上に寄与することがわかった。接合部の引張試験後の破断部の観察から、接合強度による破断面の様相の違いがみられた。接合強度の高い破断面では、ディンプルがみられ、銅の延性破壊であった。表面活性化加熱接合が接合性能として必要な温度は773Kであった。

クリーンな接合技術の開発と応用研究
(第11報)

-- 摩擦圧接による金属とセラミックスの接合 --

 金属とセラミックスの接合を摩擦圧接方法で試みた。接合材料は金属に純アルミニウム、セラミックスに炭化チタンおよびホウ化チタンである。使用した摩擦圧接機は位置制御式で、加圧制御可能な一般的な荷重制御式ではないが、摩擦寄り代、摩擦送り速度、アップセット寄り代、アップセット送り速度、ホールド時間の各接合条件を把握することができた。しかし、両セラミックスの焼結等の製造に起因する物性のばらつきや一般にセラミックスは元来じん性が低い材料であることが影響して、両セラミックスともに接合過程で破損し、純アルミニウムとの完全な接合体ではなく、両セラミックスが断片的に純アルミニウムに接合した接合体が得られた。接合部の断面の光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡等のミクロな観察から、純アルミニウムと両セラミックス間の拡散などの化学的反応の有無は確かめられなかったが、両者が完全に密着固定・接合していることを確認した。

刃物の品質管理に関する研究(第1報)

-- 画像解析による刃先角度の測定 --

 大量生産方式で労働力の安価な諸外国製品に対抗するには、会社組織の合理化、製造工程の自動化など様々な効率化が必要とされる。また、近年における消費者の購買意識には多少高価でも品質が良く、感覚にあった製品を選択する傾向がある。そのため、生産の効率化と共に消費者ニーズにあわせた多品種少量生産や品質保証等による高付加価値化への対応が重要になっている。
 刃物製品に求められる品質の1つに切れ味がある。しかし、切れ味は材質、刃先の形状や角度など様々な要素が絡んでおり全品検査では膨大な時間を要するため、主に抜き取りによる品質検査が行われている。そこで、昨年度は切れ味要素の1つである刃先角度を短時間に測定するために画像処理型刃先角度測定装置の開発した。本年度は本装置の測定精度の向上及び刃先角度測定の機能強化を行った。

刃物の品質管理に関する研究(第2報)

-- 鋏の耐久性評価に関する研究 --

 鋏の耐久試験機を開発し、切れ味と耐久性との関係を検討した。本年度は切れ味を本多式切れ味試験機で評価し、切れ味と切断回数との関係を示した。その結果、切断回数に伴う刃先の形状変化が切れ味と大きく関係することがわかった。また、前報(第1報)のレーザーによる刃先角度測定装置を用いて鋏の刃先劣化の評価を行い、刃先の形状変化を確認できた。