高機能マグネシウム合金の成形・利用技術に関する研究
(第7報)
-- 粉末冶金による合金設計と成形Ⅲ (押出成形研究) --
機能性Mg合金の機械的諸特性の向上を目的に、粉末を原料とした成形プロセスについて検討した。本年度は、前報よりも微細なMg粉末及びZr粉末を用いた熱間押出成形体の機械的諸特性について評価し、原料粉末粒径の差異及び成形体の熱処理による影響を考察した。微細なMg粉末の熱間押出成形体の場合、成形体組織の微細化を確認したが、それにともなう成形体の機械的諸特性の顕著な差異は認められなかった。熱処理温度の上昇に伴い、成形体組織の粗大化が観察された。微細なMg-Zr粉末の場合、熱間押出成形体組織においてZr粒子は、ほぼ一様に分散していた。成形体のマトリックス結晶粒径は、Zr粉末添加量及び熱処理温度には依存しなかった。成形体の機械的諸特性は、微細なZr粉末を添加することにより増加傾向を示した。さらに、汎用AZ91鋳造材及び制振合金MCMやK1A鋳造材と比較した場合、微細なMg-Zr粉末の成形体の曲げ強さ、弾性率及び内部摩擦は高い値を示した。
高機能マグネシウム合金の成形・利用技術に関する研究
(第8報)
-- 絞り加工研究 --
マグネシウムは軽量で高比強度また電磁遮蔽性等に優れ、筐体等への利用が進んでいる。マグネシウムは523K以下では塑性加工性が悪いため、その成形には主に射出成形法が適用されている。しかし、マグネシウムの利用をより一層拡げるにはプレス成形法の適用を検討する必要がある。マグネシウム板材を常温で深絞り成形ができるようにするためには、集合組織を変化させることが重要である。ここではその手段として、ショットピーニングを行った。その結果次のようなことがわかった。
- マグネシウム板材にショットピーニングを行うことにより板表面の集合組織を変えることができる。
- ショットピーニングと焼鈍を組み合わせることにより、常温深絞り成形性が向上する。
- 常温深絞り成形において、限界絞り比を1.14から1.28に向上することができた。
高機能マグネシウム合金の成形・利用技術に関する研究
(第9報)
-- 耐食技術研究 --
マグネシウムは一般的に使用されている金属のなかでも比重が小さく、比強度も優れている特徴がある。しかし、電気化学的に活性が高い金属であるため非常に腐食しやすい問題点がある。そこで、アルミニウムや亜鉛などを加えて耐食性を高めたマグネシウム合金が自動車やパソコンなど多くの分野で利用されている。しかし、マグネシウム合金においても耐食性の問題は完全に解消されておらず、更なる耐食性の向上が必要とされている。そこで、本年度はマグネシウム合金上にアルミニウムを積層させ、陽極酸化処理によりアルマイト層を形成させて耐食性の評価を行った。
クリーンなナノ制御接合技術の開発と応用研究
(第1報)
-- 常温接合技術 --
表面活性化常温接合法(SAB)を用いて、A3003/SUS304、A6061/SUS304の異種材料の接合実験を行い、その接合強度、界面観察を行なった。本実験における接合強度の結果はそれぞれのAl母材の強度より著しく低い値しか得られなかった。しかし、引張試験後側の表面にAl合金の痕跡が接触部の一部で見られ、その部分をSEM、EDS分析で確認したところAlが延性破壊しており、接合現象の発生が確認された。また痕跡が残らない程度の弱い接合部も存在していると考えられる。
クリーンなナノ制御接合技術の開発と応用研究
(第2報)
-- FSWによるスポット接合 --
摩擦撹拌接合(Friction Stir Welding:以下FSW)をスポット接合に適用し、上下に重ねた材料の撹拌メカニズムを調べた。 FSWツール回転数、ツール保持時間を変えてアルミニウム合金A2000系とA5000系との重ね合わせ、アルミ合金の間に銅板を挟み込んだ接合、アルミ下部に銅板をおいた場合について接合条件を変えて重ね合わせ接合を実施した。それらの試料の接合部断面のマクロ観察、ミクロ観察等によってスポット接合にFSWを適用した場合の撹拌機構、銅材料を含む場合の問題点などが明らかになった。
クリーンなナノ制御接合技術の開発と応用研究
(第3報)
-- 金属とセラミックスの傾斜機能材料の開発 --
TiC とTi の接合手段として傾斜機能材の作成を試みた。焼結法として放電焼結および真空焼結、傾斜形成としてTiC/Ti 系とTiC/Ti-C/Ti 系(燃焼合成の応用)を行った。
- 放電焼結は黒鉛型成形であるため加圧できるので、TiC および傾斜部の焼結性はよく、さらにはク ラックや変形などの発生も少ない、良好な傾斜材が得られた。
- 一般的な真空焼結でも良好な傾斜材の成形が可能な結果が得られた。
- TiC/Ti 系の傾斜形成法では、TiC の大きな領域が残ったが、クラックも少ない傾斜層が生成され、 TiC とTi の接合体が得られた。
- TiC/Ti-C/Ti 系の傾斜形成法では、傾斜部でTiC の合成反応が生じ、TiC+Ti 混合のなだらかな傾斜層 が生成され、TiC とTi の接合体が得られた。
クリーンなナノ制御接合技術の開発と応用研究
(第4報)
-- 金属とセラミックスの接合技術に関する研究(TiCとTiの接合) --
軽量・高硬度セラミックスTiCとTi-6Al-4V合金とのろう付法を開発するとともに、材料界面における組織観察により材料間の接合機構を明らかにした。二種類の多孔質および緻密質TiCを用いて接合を行った。いずれもCu-34at%Ti合金を用い、真空ろう付された。多孔質TiCとTiとのろう付では多孔質TiCへのCu合金ろうの侵入が認められ、あまり良好な接合体が形成されない。一方、緻密質TiCとTiとのろう付は接合温度が低い1000℃ の場合Cuろう合金が界面に残留し、良好な接合体が得られた。TiCとTi合金の間に低膨張金属のMo板を挿入した場合、界面には割れの無い良好な TiC/Mo/Ti多層接合体が形成された。
燃焼合成による皮膜形成に関する研究
(第2報)
燃焼合成を応用して、一般金属基材上への皮膜形成について検討した。SUS基材上に9種類の組合せの混合粉末原料を用いて、燃焼合成を着火法および焼結法により行った。
- 着火法で基材に皮膜形成できた組合せ粉末はTi-Al,Ni-Al,Ti-Ni,Ti-Bであり、それぞれの皮膜部は化合物が形成された。
- 焼結法で基材に皮膜形成できた組合せ粉末はTi-Al,Ni-Al,Ti-Fe,Ti-Ni,Fe-Niであり、それぞれの皮膜部は化合物が形成された。
切れ味の耐久性を高める2次刃の加工技術研究
(第2報)
切れ味の耐久試験機を使って炭素鋼(SK)や白鋳鉄材からなる試験刃を試作して耐久試験を行い、切れ味とその耐久性について検討した。その結果、SK5 材においSUS420J21,2,3)などと同様に溝を観察したが、SK3材では刃先のつぶれを観察した。白鋳鉄材については、非常に硬いので、当初尖っていた刃先が丸くなり、その後刃先先端部に介在物の脱落と思われる穴が多数発生し、切れ味が劣化していった。また、試作した日本刀の刃先に、両側からかえり生成されていることを観察した。
マイクロ波による粉末冶金・粉末焼成技術の開発研究
本研究では2.45GHzのマイクロ波焼結炉により、各種の雰囲気で1173K、0.6ksで、チタン粉末圧密体の焼結実験を行った。Ar+N2雰囲気下においては試料全域で窒化物が生成し、Ar+O2雰囲気下では試料表面が酸化され酸化チタンスケールが形成されるが、内部は酸素を固溶するチタンとなった。一方、Ar雰囲気下では焼結体を得ることは可能であったが、相対密度が低く、内部に多くの空隙が残った。そこで、Arガス雰囲気下で、焼結温度: 1373~1600K、焼結時間:0.9ks~1.8ksで焼結を行ったところ、相対密度は焼結温度、時間の増加に従い大きくなり、1600K- 1.8ksで相対密度:91.1%となった。引張強さは1473K-0.9ksで最も高くなり、純チタン(JIS1種)に匹敵する275MPaとなった。焼結条件を最適化することにより、焼結性を改善でき、力学的特性等の向上が期待される。 なお、本研究は文部科学省核融合科学研究所、岐阜県セラミックス技術研究所、岐阜県製品技術研究所の共同研究として実施した。

